・・・・後にするはずだった。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!!」



鐘がやむのと同時に時計台へと背を向けた新一は、振りかえった先、にこにこしながら立っているここにいるはずのない男に、目が飛び出さんばかりに驚いた。

「よっ」

あまりに普段と変わらぬ相手に、1分間ほど沈没していた新一だったが、
「・・・・新一?」
のほほんと問いかけてくるその態度にブチ切れると、がばっと顔を上げて相手に詰め寄った。
「だ
―――――――!!!!あんでオメーここにいんだよ!!!!!!予告はどうしたんだ!!!!!!!やめちゃったとか言いやがったら許さねぇぞコラ!!!!!!」

先ほどまでの殊勝な考えはどこかへやってしまったらしく勢いよく捲くし立てる新一に、怪盗キッドであるはずの快斗は、くすりと笑った。


「だって折角新一がイヴのデートに誘ってくれたんだしな」
今回は時間丁度に盗まれたように見せかける仕掛けだけ作って置いてきた。
本物はもう盗ってきちゃってたりして。
そう言って呑気に笑う快斗に、新一は開いた口が塞がらない。

「だって新一、予告より優先してほしいって感じで可愛いんだもんなぁ〜!オレとしては中継地点辺りで待ち合わせでもよかったんだけど。こんな可愛い新一ほっとけねぇよ」
しかもクリスマスイヴだしな!更にそう続けた快斗に、漸く思考回路が元に戻ってきた新一は、はたと気づいた。
今彼は、自分にキッドとしてのことを話はしなかったか・・・?
「え、あ・・・・れ?オメーオレがキッドの正体知ってるって・・・・?」
(知ってた・・・?)
最後まで言葉にならなかった問いに、快斗はきょとんとした顔をする。
「へ?最初っからそのつもりで声かけてきたんだろ・・・?」
何今更そんなこと言ってんだ?そう言って心底不思議そうな顔をした快斗に、新一は身体中の力が抜けていくのを感じた。


「は、はは・・・・」
今まで悩んだ自分はなんだったのだろう・・・。
何てことはない、もうずっと快斗は自分と秘密を共有してくれていたのだ。
情けない笑いを零すしかない新一に首を傾げた快斗だったが、きっと自分が時間通りに来ないと思っていたのだろうと予想をすると、今日という日に小さな我が侭を言ってくれた相手にささやかながら気持ちを返そうと思い立つ。
今だ脱力状態だった新一は、
「新一」
呼ばれる声につられるようにそちらに顔を向けた。
快斗の瞳は、新一へと向けられていて
―――――






「メリークリスマス・・・・」





そうしてふわりと唇に触れた温もりに、不覚にも心臓が壊れそうなほどドキドキしてしまった新一は、真っ赤な顔になりながら盛大に快斗の脛に蹴りをかますのであった・・・。


どうやら新一は、快斗の特別だったようである。













































































おしまい!!!



納得いかないにしても、どうにか最後まで書けました・・・。
こんなものでも、読んでくださって有難うごさいました!!!!





入れられなかったので補足。
快斗が空を見てたのは、新一の瞳を連想させるからです。(笑)
何してたんだと問われたときにヒミツと答えたのは、
どうしてその日のうちに工藤邸に来なかったんだと問われたと勘違いして、
実は軽い怪我をしてたという理由があったのでした。
オマケ話で入れようと思ってたのですが、力つきました・・・。