「悪かったな」
翌朝バツの悪そうな顔をした黒羽に謝られ、
(コイツも他のやつらと一緒なのか…)
そう思って微かに落胆とも言える感情を覚えた新一だったが。
けれどもそれ以降とくに黒羽が新一を求めてくる様子はなく。
大学構内で会っても、それ以外のところで会っても、
まったく以前と変わらない様子の彼に、何故だか新一は段々と苛立ちを覚えていった。
「工藤!」
大学からの帰り道、声をかけてきたのは服部平次だった。
そういえばあの3人で酒を飲んだ日以来、服部とは一度も会っていなかった。
お互いたまたま別の事件の解決に借り出されていたからである。
「よぉ、久しぶりだな」
新一の応えに、
「ようやっと事件解決しよってな」
笑いながらそう応えた服部は、新一の横に並ぶといつものように世間話を始めた。
駅までの道を歩きながら服部が喋る。
薄っすらと葉が黄色味がかってきた銀杏並木に、もう秋だなと思考を飛ばしていた新一は、適当に相槌をうっていた会話がいつの間にか途切れていたことに気づくのが遅れた。
「服部?」
黙った服部は一瞬周囲に視線を走らせ、少し躊躇いながらも声をひそめると、
「な、今日家行ってええか?」
窺うように問いかけてきた。
前回新一が服部の誘いを断った形になっていたから切り出しにくかった、服部の態度はそんな風に見えた。
(そういえば黒羽と寝て以来誰ともやってなかったな・・・)
あれ以来自分は幼馴染が表現した、迷惑な色気というものから開放されたのかと考えていた新一は、そうでもないらしいことに首を傾げつつも構わないと返事を返した。
(コイツ、こんなだったっけ・・・?)
ギシギシと無駄にベットのスプリングが軋む音が耳につく―――――。
シーツの上に横たわりながらもいまいち気分が高まらない新一は、ぼんやりと天井の模様を見つめていた。
普段はそれなりに快楽に呑まれることができるのに、今日はどうにもそれが出来ない。
原因を解明すべく巡らせた思考と身体を通りすぎていく感覚から出た結論は、つまるところ服部の下手さ加減だったのだが。
少々の粗っぽさは否めないものの、今まで新一は取りたてて服部の行為を下手だと思ったことはなかった。
しかし行為が進むにつれてもの足りない感覚は顕著になっていき・・・・。
―――――――何故・・・。
(あぁ、そうか)
ふと先日の出来事が新一の頭を過ぎる。
(――――――アイツとやったからだ)
納得の行く理由をえられたと同時に、その時の黒羽とのセックスを思い出した新一が少しだけ顔を赤らめると、何を勘違いしたのか上に被さっている人間が腰の動きをはやめてきた。
「・・・っつ」
(いてぇし・・・何か気持ちわりぃ・・・)
「好きや、工藤・・・」
(アイツはもっと・・・)
掠れるような声をどこか遠くに聞きながら、新一は黒羽のことばかり考えていた。
NEXT
平次ごめん・・・。
そして新一が快斗以外とやっているのはイヤだ・・・!!!!
じゃぁ書くなよという突っ込みはナシの方向で。