エレベータの到着を示す光が点滅し、シュッという小さな音とともに扉が開く。
手元の資料を読んでいた史彦は、エレベータに乗り込もうと顔をあげて固まった。


そこにいたのは、顔を真っ赤に染めてはぁはぁ息を切らしている、普段はとても冷静な戦闘指揮官と。
壁にぶつけたのか、後頭部を手でさすりながら、目じりに涙を溜めているわが息子。しかし表情はどこか満足そうだ。


「………」
「………」
「あ、父さん」


息子の声に現実に戻ってきた戦闘指揮官が、慌てて何か言おうと口を開いた瞬間に、シュゥと扉がしまり、エレベーターはそのまま階下へ降りてゆく。




「………今日の晩飯は食堂で食べたほうがいいのか…?」
エレベーターに乗りそびれた哀れな父親が次に直面するのは、現実的で切実な悩みだ。


































































それだけ!