ついてない。
降ったところで小雨だろうと高を括っていたら、思い切り降られた。
とにかく雨避けにと公園の東屋まで走ったが、今更凌いだところで意味はないのではと思うくらいには、総士も一騎もびしょ濡れになっていた。

濡れた襟が首にあたるのが気持ち悪くてシャツのボタンを外していると、総士がこちらを見ていた。

「…総士？」
「…いや」

前髪を手で避けながら、顔を覗き込むと、総士はさっさと視線を外してしまう。
そのまま目で追えば、束ねていた髪を解いていた。
「…」
水分をすって艶を増した髪が、まっすぐに伸びた背に流れる。
そのうちの幾すじかは、頬や首筋にからみついていた。
濡れたせいで透けた白いシャツから、肌の色がうっすらと覗える。

一騎は、急に総士から目が離せなくなった自分に気が付いた。
うっすらと頬を染めて息を吐き出す総士に、どうしようもなく身体が熱くなる。


（―やばい、だろ）



熱を押し付けて、ぐちゃぐちゃにしてやりたいと。